自分の住む街、一乗寺をただただ自慢したい
この記事は Money Forward 関西拠点 Advent Calendar 2021 の20日目の記事です。
マネーフォワード関西開発拠点でエンジニアをやってる東海林です。Kotlinでなんか書くぞーと言ってたんですが、「テーマは自由」という文言を見つけてしまったため、宗旨変えしました。お許しください。
だって、一乗寺のことを自慢したかったんだ。
前置き
本記事は、非一乗寺の民へ向けて一乗寺の魅力を伝えるべく書かれた。
概要
一乗寺は兎にも角にも住みやすい。
飲食店が多いのはもとより、スーパー、ドラッグストア、コンビニ、書店、銭湯までがそれぞれ複数、そして最近では見かけることが少なくなってしまったレンタルビデオ屋もある。カラオケもある(調べてみたところ何故か天壇系列だった https://www.tendan.co.jp/karaoke.html ) 。ショッピングモールも馬鹿でかいのがある。電気屋も、牛丼屋も、ジム(これまた馬鹿でかい)も、ある。
もはや一乗寺にないものないのではないか。
以下に、その詳細を記す。
飲食店
千成餅食堂
ザ・地元の人向けといった風体だったため、長年入ることを躊躇していたが、勇気を出して入ってみたところ、これがもう本当に素晴らしいお店だった。 おすすめはオムライスと中華そば。
オムライスはふわとろではなく、昔ながらのカチッとしたやつ。ごくごく普通なのだが、なぜか無性に美味い。ウシジマくんが死ぬほど追いケチャップして食ってたやつ、多分こういうのだと思う。
中華そばも最近のニューウェーブな感じではない、昔ながらの「中華そば」なのだが、一度食べるとまた食べたくなる。さらっとしてるのに中毒性が高くスープ完飲必至。
ちなみに出前もしている。ウーバーとかではないやつ。今どき出前がある店って貴重じゃないか。お店の人が岡持ち持って出ていく姿を頻繁に見かけるので、意外と需要がある様子。
お昼時は建設現場関連の人や地元の会社の人、年配者で満席近いことも多々。キャップ被ったおじいさんが昼間から瓶ビール飲んでるのとかものどかでたまらない。
ちなみにチェーン店というわけではないと思うのだが、千成餅協同組合( http://www.kyoto-oideyasu.com/k/sennari45-k.htm )という団体に所属しているみたい。実態は謎。
ハンバーグ定食も美味しいし、八宝菜をあてにビールってのも良かった。
まるさか洋食堂
千成餅食堂の斜めむかいに2年くらい前にできた洋食屋さん。初めて入ったときはいまいちな印象だったんだけど、コロナで店内営業やめてたときの弁当を食って、「なんだ、めちゃくちゃ美味いじゃないか!」となった。
その後、店内営業が復活したので通うようになったんだけど、これがまあ、美味いのよ。
オールドスクールな洋食屋でもなく、最近のオシャンティーな洋食屋でもないのが、いい塩梅。おかずの種類が多くって食べる前からわくわくしてしまう。ハンバーグが美味いのはもちろんのこと付け合せのおかずがどれもこれも美味しい。あ、タルタルソースがすごい美味いんで、タルタルソースに絡んだメニューを頼むのが良いですよ。
美味いし手頃だし、最高なんだけど、コロナ後の店舗営業がめちゃくちゃ不定休なので、「千成餅食堂に行く気持ちのときにたまたま開いてたら入る」か「開いてなかったら千成餅食堂に行く」というマインドで挑んでる。まあ、千成餅食堂大好きなのでどっちにころんでも大丈夫なんだけど。
今後もずっとそうなのかはわからないけど、近く通りかかって開いてたらかなりラッキーなので、見かけたら迷わずinしましょう(12月19日現在、開いてる日のほうが多くなってきたので杞憂かも)。
高嶋
ここも自宅からめっちゃ近いんだけど、千成餅食堂と同じでザ・地元の人向けな感じがただよっていたため、全然入ったことがなかった。 お世話になってるライブハウスの店長に「高嶋のカツ丼はうまいから絶対食ったほうがいい」と言われて訪問。そしてその言葉通り、めちゃくちゃに美味かった。本当に素朴な普通のカツ丼なんだけど、食べてるとなんか顔がニヤついてしまうんですよね・・・。
写真いまいちうまく撮れてないけど、見目麗しいのですよ。つまみも日替わりで色々あるので、瓶ビールで軽く晩酌なんてのもおすすめ。至福です。
そういえばコロナ前は夜7時から朝4時までという気が狂った営業時間だったけど、今は夜12時半まで。コロナ前に行っておけばよかった後悔先に立たず・・・。 その当時の雰囲気はメシ通さんに良い記事がありました。
ヤマシタコーヒー
行きつけの喫茶店。朝7時開店。
土曜日の朝に行くことが多いのだけれど、わりといつ行っても、年配の方と若者半々くらいな不思議な客層。店主と(おそらく)そのパートナーと思われる女性の二人で切り盛りしていて、マスターの柔らかい雰囲気がめたくそに良いんですよね。
まあ、そういうのを差っ引いても単純にコーヒーとメシが美味い。
コーヒーにこだわりをもったことがないので他の人にとってどうなのかはわからないけど、私はここで飲むコーヒーが一番好き。
いつも、モーニングのDばかり頼んでて、ホットドッグとゆで卵とドリンクのセットなんだけど、このホットドッグに挟まれてるカレー風味のキャベツがやたらと美味いんですよ(異論は許さないレベルで)。コーヒーにも妙に合います。
土曜日の朝に、美味しいごはんとコーヒーをいただいて、会計時に「はーい。ありが^とう」(独特なイントネーション)と笑顔のマスターに言われたら、休日の勝利は確定です。
金ちゃんうどん
うどん屋ではなくて居酒屋。うどんもあるが。
一乗寺ってたくさん居酒屋があるんだけれど、その中でも一番好き。ひどいときは週1で通っていた。メシが美味くて店長と(おそらく)ご家族の店員さんたちがなんとも良いんよね。とん平焼きとイカのチョレギが好き。見た目も良すぎる。
あと、季節ごとに出てくる自家製のキムチもまた美味いんだ。 直近は小カブのキムチ食ったんだけど、これが信じられないくらい美味かった。マッコリいっちゃうよね。致し方ない。
余談だけど、友人のYと二人で飲みに来ると、やつは(しこたまつまみ食ったくせに)必ずしめにわかめうどんを食う。昔からよく食うやつだったが、45になるのに本当にわんぱくなのだ(しかも全然太らないし)。
たまに大人数のときは座敷に座るけど、大抵はカウンター。でっかい鉄板で調理してる金ちゃんの姿を特等席で見れます。
寝台船
https://www.instagram.com/shindaisen_/
2年位前にできたのかな(※1年前だったっぽい)。突如、一乗寺駅至近にあらわれた居酒屋。
民家を改装した店内で(おそらく)バンド界隈らしい若い店主が切り盛りしてる。
若者と地元の人達で賑わっているんだけれど、こういうところに来るような若者ってやっぱりなんというかくすんでいてキラキラしてないので、居心地が良い。
この前食べたターサイのおでん、ハツと野菜の炒めものも美味かった。
開店当初に入ったときは料理がいまいちな印象だったんだけど、確実に美味くなっていってる(気がする)。まだ食べたことないけど、チャーハンが美味いっぽいんだよなあ。食わなきゃ。
そういやこの前行った時、他のお客さんから「この前、芋煮会に来てましたよね?」と尋ねられた。この前の芋煮会どころか、芋煮会自体出席したことがございません。
PIZZA MONSTAR
こちらも一乗寺駅すぐそばに2年ちょっとくらい前にできた。記憶がたしかなら、元々ファミコンショップだったところのはず。
ピザは、安くて美味くてでかいでおなじみ(自分で勝手に言ってるだけだが)のDAI'S PiZZA( https://dais-pizzakitchen.com/ )に長らくお世話になっていたんだけれど、ここの食ってからはこっち一択になってしまった。
でっかい1ピースが400〜600円くらい。日替わりも豊富なので飽きないし、基本のピザがどれも良い。もちろん持ち帰りもできます。
ピザも美味いんだが、なぜかTシャツも主力商品で、うすた京介やら浅井健一、CHAIデザインのものがあり、よくわからない。どんなパイプがあるのだろうか(どうやら最近、元ラーメンズの片桐仁デザインのTシャツも入荷してたらしくって、謎が深まった)。
全然どうでもいいんだが、同店で取り扱ってるTシャツを着てるの忘れて入店したときに「着てくれてるんですね!」とスタッフの人に声をかけられて、だいぶ狼狽えました。
サイトもかわいいよ。
書店
マヤルカ古書店
うちから一番近い古本屋。選書と本棚作りの趣味がすごく良くって、足繁く通ってる。
元々は西陣のほうでやっていたんだけど、3、4年くらい前(だったかな)に移転してきたらしい。
好きな本屋かどうか分けるのって、棚作りの趣味が自分の好みに合致するかどうかだと思っていて、そういう意味でここは私にとって最高の本屋です。一応、フェミニズム、社会学、文芸、海外文学みたいなくくりごとに作られてはいるんだけど、お店が小さいのもあってか、目的外の本に出会えるのが嬉しい(とはいえ、古本屋に決め打ちで行くことってないよなと思ったが)。
普段、本をよく読む人ならたぶんお気に入りの本棚が一つはあるのではないかと勝手に思ってる。
あまり見に行くことはないけど、たまに二階で展示をやってたりする。買った本を小脇に抱えて3軒隣の喫茶店、ウッドノートでチャイを飲むなんてのもおつですよ。
お店前にある100円本を探すのも楽しい。
大垣書店
そんなの今更言われてもねえ、ってくらい京都の人なら知らない人はいないと思うチェーン店だけど、高野店はちょうどよい規模感も相まってか「街の本屋さん」感があって好き。
大垣書店で働いていた友人から「大垣は主に売れ線を扱うことが多いんよね」と聞いたことがあったんだけど、高野店は特集棚のところの選書がけっこういかつくて、本屋の意地を感じたりする。
本読みとしては本屋がこの世から消えると困るので、なるべくAmazonには頼らず、店頭にない場合はお取り寄せしてもらったりしている。
併設のカフェに喫煙席(これがまた、半オープンテラスって感じで良いのよ)があるのも、ヤニカスの私には嬉しいところです。
この店、昔は丸山書店だったんだよなあ、と感慨にふけるのは北白川の丸山書店はフレスコになってしまったからってのもある。本屋つぶれるとスーパーかドラッグストアが入りがちで寂しいんよね。本屋の跡地にはせめて本屋が入ってほしい。
謎の野外書店
ここ、昔からあるんだけど、ずっと謎。マヤルカ古書店から北に行って、踏切をこえて一乗寺駅に向かって線路沿いを歩いていくと出現する。どこが主体でやっているのか、ただの趣味なのかわからないが過ぎる。100円をポストに入れて支払う直売所スタイル。
どうみても誰にも要らない雑貨とか、20年くらい前のエッチな漫画とか、色々と謎なものが置かれている。
特に買取りを行っている風でもないのに、なぜかちゃんと本が回転していて、行くたび(月1くらい)にラインナップが違う。
特に惹かれる本はないので、ほぼお買い物したことはないのだけど、なんとなく定期的に確認に行ってます。
スーパー
一乗寺、ちょっとスーパー多すぎじゃない?って思ってる。
徒歩5分圏内にしぼっても、
- 生鮮館なかむら
- HELP
- イズミヤ
- カナート(現阪急洛北スクエア)
- 旬彩市場 錦
があり、ちょっと足を伸ばすと、
- 生協
- ライフ北白川店(普段行くスーパーでは見かけないものがあるのでテンションあがる)
- 業務スーパー
- 八百民(豚こま肉はここが一番安くて美味い)
と、選び放題。
さらに、まごころやって居酒屋が朝7時から13時くらいまで店頭で野菜と卵と魚(+魚の惣菜)を販売してるので、「やべ、卵買い忘れた」なんてときもすぐに朝飯用のたまごが調達可能。
最後のは余談としても、こんだけスーパーに恵まれているところに住んでしまうと、なかなか他の街に住もうと思わなくなる。
レンタルビデオ屋
ビデオ1
出町柳のTSUTAYAも消え、下鴨本通のGEOもレンタル事業を辞めたいまとなってはすべての左京区民はビデオ1にすがって生きるしかないと思うんですよね。
大手がこぞって手を引いていく中、なぜ生き残っているのか謎すぎる。
1階が邦画とアニメと特撮で、2階が洋画。
ラインナップも売れ筋ばかりってわけではまったくなく、ミニシアター系も名画系もB級も充実。韓国映画もしっかり2棚分みっちりあるところも信頼感がある。昔は監督ごとにまとまってるコーナーが最高だったんだけど、少し縮小された模様。あと、普通なのかもしれないけど、劇場公開作の関連作をきちっとまとめてくれてたりするところが映画への愛を感じてよいんですよね。ここのおかげでビルとテッドシリーズという最高の映画に出会えたし。
子供のとき行っていた地元のレンタルビデオ屋ってこういう馬鹿でかいところが多かった気がしていて、自分の中のレンタルビデオ屋像が具現化されたようなお店。
Netflixもアマプラももちろん利用してるんだけど、膨大なソフトに囲まれながらどこかカビ臭い店内で映画物色する体験って代えがたいものがあるんよね。ついつい「こっちも面白そう。あ、こっちも」となって2本、3本と借りる本数が増えるのもご愛嬌。まあ、旧作100円(税抜)、新作でも200円(税抜)と超絶お得なので、無問題です。
うん。やっぱり、それで経営なりたってるのが改めて謎だ。24時間営業、大丈夫?
今はなくなってしまった店
鶴はし
ご存知のむきも多いと思うけど、一乗寺は「一乗寺ラーメン街道」なんて名前がつけられるくらいラーメン屋が多い。休日ともなると列をなしているところもかなりある。
今はなき、鶴はしはその中でもひときわ人気がなくって、いつ行ってもテーブルとカウンターにぽつぽつとお客さんがいる程度。待ってるお客さんがいたことなんて記憶にある限り一度もなかった。
でも、私は当時の京都のラーメンの中でダントツに一番好きだった。思い入れとかそういうんじゃなくて、普通に味で勝負できる店だと思ったんだけど、なぜか人気なかったんだよなあ。なんでなんだろ。友だち界隈にもファンが多かった。
店内は昔ながらの「街のラーメン屋さん」みたいな感じで、(おそらく)60歳代の店主が一人で切り盛りしていた。鴨だしスープ(店主はフランス料理のシェフ出身だったらしい。おしゃれな雰囲気は一ミリも出してなかったので、いわれなきゃわからん)の岩のりネギラーメンがまあ美味いんだ。
店主がなくなったあと、息子さんがあとを継いでしばらくやっていたんだけど、やはり人気がなかったのか、2年もたたないうちに閉めてしまっていた。悲しい。
もう二度と食べれないんだよなあ、と思って味を思い出そうとしたんだけど、思い出せなかった。でも、美味かったなあ。
コミックショック高野店
高野交差点の角ほど近くにあった古本屋。何を隠そう学生〜フリーター時代にバイトしていた。
最初は銀閣寺店で働いていて、そこがなくなるってことでこっちに移籍して。コミックショックは店ごとの裁量がかなり大きくって、銀閣寺店と高野店はいわゆる「サブカル」色が濃かった。サブカル者()の私にとっては天国みたいなところだったんよね。
CD棚の整理と値付けを任されたとき、もちろんAmazonなんてなかった時代だったので、適当に自分の知らないCDにばかばか100円シールを貼って品出ししてたんだが、あるときお客さんに「これ、本当に100円なんですか?」と聞かれたのも今はいい思い出。知らなかったんだよ、カニエ・ウェスト(HIPHOPの超有名な人です)。よく店長に怒られなかったな。
高野店の店長も例にもれずサブカル者で(dipのライブを東京まで見に行くような人だった)「東海林くんこのバンド知ってる?」なんて会話がバイトの楽しみだったりした。アックス(ガロの後継誌だったはず)に投稿していた同僚は漫画家になれたのかな。
バイト辞めた後もちょくちょく通ってたんだけど、当初京都市内に10店舗くらいあったお店がどんどん閉じて行っていて、それでも高野店だけはなんとか続いていて、で、2年くらい前に閉店の告知があって、棚からどんどん本がなくなっていったのをよく覚えてる。すかすかの本棚は妙にくるものがあった。
その他
道民だった私は、桜については完全に無頓着だったんだけれど、近所の疎水の桜並木は放心するくらいきれいだった。
毎年春はとくに素晴らしいんだけど、普段もとても好きな場所。初夏には運が良ければホタルに遭遇できますぜ。
あとがき
特に一乗寺決め打ちで住もうとしたわけではなく、家賃相場の折り合いでなにげなく住み始めた。で、それからも左京区をあっちにいったりこっちにいったりはしつつもなんだかんだと15年くらい一乗寺に住んでる。
そんなに長く住んだら飽きるんでないかね、と自分でも思うんだけど、今の所その気配はない。
ちょっと臭いことを書くようだけれど、街は移り変わりゆくということが、実感として感じられるんよね。長いこと住んでるから特に。それでも、高嶋や千成餅食堂は変わらずにあることを噛み締めつつ、生活していくのもまたちょうどいい塩梅だったり。まあ、いつまでもあるってわけではないんだけど。
一乗寺は「いわゆる京都」のイメージからはずれていて、生活者たちのにおいがちょっと強めで、といって大宮とか西院みたいなアクの強さもなく(いや、どっちも好きな街なんだけど)、何度も言っててバカみたいだけど、私にとってちょうどいい塩梅の街なんだな、と思う。
散歩が好きな人にもおすすめですよ。本屋めぐって、千成餅食堂でオムライス食べて、疎水沿い歩いて、疲れたらヤマシタコーヒーで休憩なんてどうでしょう。鈴成湯で汗をながしたあと、金ちゃんうどんでビールを決めたら最高の一日になること間違いなし。責任は取りかねますが。
さて、ここからどうやってマネフォの話に戻すか逡巡してるんだけど、こういう話題が好きそうな人がわりと多い(未確認)職場なので、合いそうかなと思った人はぜひカジュアル面談しましょう。場合によっては私が出て来たりします。
それでは。